法隆寺は推古15年(607)、聖徳太子と推古天皇により創建されたと伝えられ、現存する世界最古の木造建築群として往時の姿を今に伝えている。
境内は西院と東院に大きく分かれ、国宝・重要文化財の建築物だけでも55棟に及ぶ。
寺の中心である西院伽藍にある、五重塔(国宝)の初層には、「五重塔初層安置塑像群」があり、
そのうちの80体が国宝に指定されている。
その中の「釈迦入滅のシーン」があり、東西南北の4面に分かれている。
涅槃の場面を現した北面の塑像群のうちの3体が、他の像とは明らかに造形が異なっている。
格好は人間なのだが、3体とも頭が動物なのだ!
1966年に発行された、「原色日本の美術〈第2巻〉法隆寺」では、 これら3体を「侍者像:馬頭形、鼠頭形、鳥頭形」と紹介している。
なぜ法隆寺の五重塔にこの異形の塑像が安置されているのか?
「馬」「鼠」「鳥」と聞いて連想するのが十二支、どれも「十二支のひとつ」だ。
これらの像は、薬師如来の護衛である「十二神将」とも考えられているが、なぜ3体だけなのか・・・・・?
上述の「動物頭の像」という解釈には疑問を投げ掛ける人も少なく、古代の法隆寺を含めた、日本の文化で動物を頭にした像がなぜ造られたのだろうか??
これらの像の作者は不明で、日本以外でも造形が似ている像がいくつも発見されている。
イラクのシュメール文明の遺跡に残る像やレリーフに「馬頭形侍者像」に似たものが出土している。
飛鳥の石造物の一つ「猿石(女)」や明日香村の飛鳥坐神社にある「塞の神」とも形がにている。
これらを見ても、「馬」「鼠」「鳥」というよりレプティリアンに見えてくるのである・・・。